築地と並ぶ東京最大の市場。果物のプロが集まる大田市場に行こう

市場と言うと、新鮮なフルーツや野菜、精肉や鮮魚を一般の人が買い求める場所を思い浮かべる訪日観光客も多いでしょう。けれど、日本では少し違います。日本で市場と言えば、生産者が出荷した野菜を、業者が仕入れる場所のことなのです。

仲卸(なかおろし)と呼ばれる業者が”競り”で仕入れた果物や野菜が、デパートやスーパーなどの小売業者の手を経て消費者の手に届くのが、日本の一般的な流通の方法です。

日本の市場は、いわばプロの仕事場。一般人は”競り”には参加できませんが、訪日観光客も見学ができる市場もあります。観光の1つに市場を加えて、ひと味違う体験をしてみませんか?

1日3,600トンもの果物が取引される、日本最大級の市場「大田市場」

日本で一番有名な市場といえば、鮮魚を扱う築地市場ですが、フルーツ界の築地ともいうべき存在が、こちらの大田市場です。

約40万平方メートルの巨大な敷地をもち、日本中のフルーツが集まる大田市場では、1日に3,600トンもの果物が取引されています。

朝7時、プロが果物を見極める“競り”が始まります

”競り”は市場のメインイベントです。品物をオークション形式で売買することを“競り”と言い、仲卸業者で働く”目利き”と呼ばれるフルーツの品質を見極めるプロが参加します。

競りの開始前、会場にはその日に取引される果物が並べられ、果物のプロたちが事前にどれを競り落とすか、検討できるようになっています。彼らは果物の見た目や糖度を厳しくチェックし、自社の基準にあったものを選ぶのです。

大田市場の青果棟では毎朝7時ごろに競りがスタート。競りが始まると、”競り人”と呼ばれる売り手の威勢のよい声が、そこかしこから上がります。一方、”目利き”は声をあげずに、”手やり”という手のサインで値段を示していきます。


競りはフルーツの種類ごとに行われます。この日、競りが行われていたのは、高級品として知られる静岡県産のクラウンメロンや宮崎県産のマンゴーなど。

最高級のクラウンメロンは1玉20,000円、完熟マンゴーは1個10,000円ほどでデパートに並ぶこともあります。

市場見学では、このような高級フルーツを間近に見ることができます。競りの見学は、フルーツの流通の裏側に触れられるまたとない機会です。

春はイチゴ、初夏はスイカ、秋はカキ、冬はミカンなど、季節によって扱われるフルーツは変化するので、いつ来ても新鮮さを感じられるでしょう。

ダンボールがいっぱいの市場内。巨大な冷蔵庫はなんと6つもあります!

競りの見学が終わったら、場内を見てまわりましょう。場内には、ダンボールがいっぱい! 箱の中身はもちろんフルーツです。

場内でぜひ見ておきたいのが、運ばれてきた果物を保管するための巨大な冷蔵庫。

全部で6室あり、収容能力は合計で3,000トンもあるそう。冷蔵庫のなかには、イチゴやミカンが入ったダンボールが山積みに。フルーツはここで競りにかけられる日を待っているのです。

この冷蔵庫は、一般的な冷蔵庫と違って扉はありません。荷物を乗せたターレットトラックという乗り物が自由に行き来できるようになっていて、辺りにはひんやりとした冷気が漏れでています。

場内のレストランやカフェでひと息

市場の中をぐるりと巡ると、1~2時間ほどかかります。疲れたら、場内のレストランやカフェで休憩を。一般の人も食事ができます。

色とりどりの花が取引される花き棟(かきとう)にも行ってみよう

大田市場にはフルーツを扱う青果棟のほかに、花を扱う花き棟、鮮魚を扱う水産棟の3つの施設があります。時間に余裕があれば、花き棟や水産棟にも行ってみましょう。

果物が取引される青果棟から道を1本渡った場所に、花き棟はあります。ここには切り花や鉢植えがたくさん。
クリスマスや正月、母の日などのイベントの前にはとくに大量の花々が集まるそう。花の好きな方は、さまざまな花を見ることができるこちらもチェックしておきたい場所です。

大田市場を訪れる際の注意点

大田市場では数多くの人やターレットトラックが行き交います。市場の中は人よりトラック優先ですので、トラックに道を譲るようにしましょう。

競りは朝の7時頃から8時頃までの短い時間で行われます。競りを見学したい人は、早めに訪れるとよいでしょう。

また、市場内のトイレには、市場の関係者だけが使えるものと、一般の人も使えるものの2種類があります。関係者向けのトイレは鍵がかかっていて使えないので注意してください。

とにかく広い大田市場。初めて訪れる人は施設の大きさや、扱われる果物の量に驚くかもしれません。日本の”競り”のシステムや巨大な冷蔵庫など、新鮮な発見がある大田市場は、一度訪れる価値のある場所です。

<大田市場>
住所:143-0001 東京都大田区東海三丁目2番1号
営業時間:24時間営業、競りは7:00〜
定休日:毎週日曜日、水曜不定休
Wi-Fi環境 :無
クレジットカードの有無と種類 :使用不可
言語対応レベル :日本語のみ
他言語メニューの有無 :無
最寄駅:JR品川駅、JR大森駅、京浜急行平和島駅
アクセス:JR品川駅より都バス、または、JR大森駅・京浜急行平和島駅より京急バスいずれも「大田市場」行、大田市場下車
電話:03-3790-8301
※団体で見学を希望する場合は、事前に大田市場に電話で問い合わせが必要です(日本語対応のみ)。