群馬県のりんごについて

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りんご

群馬県ならではのオリジナル品種が人気です。

陽光(ようこう、10月中旬~下旬)
果実は大きく、果皮は鮮やかな濃い紅色です。 白くしまりのある果肉は果汁たっぷり。甘みと酸味のバランスが取れた上品な味わいです。

ぐんま名月(ぐんまめいげつ 10月下旬~11月上旬)
果皮は黄色で、太陽光が当たる部分は淡い紅色に色づきます。果肉には蜜がたっぷり。甘みが強く酸味が少ないのが特徴です。直売所の予約で売り切れてしまうこともあり、「幻のりんご」とも呼ばれています。

おぜの紅(おぜのくれない、8月下旬~9月上旬)
夏の終わりから収穫できる品種で、果実は大玉で、真っ赤に色づきます。甘みと酸味のバランスがよく、香りも抜群です。

スリムレッド(10月下旬~11月上旬)
ユニークな俵形で果汁たっぷり。果皮は歯切れが良いので、丸かじりに最適です。

紅鶴(べにづる、10月上旬~中旬)
2016年に群馬県で生まれた新品種。きれいで鮮やかな赤色と、さわやかな酸味、シャキシャキとした食感が特徴です。


生産者インタビュー

りんご生産者: 小野 圭介

群馬の秋を代表するフルーツの味覚と言えばりんご。
戦後まもなくから栽培が始まり、県北部の中山間地を中心に栽培が拡大、次々に県育成オリジナル品種が生み出されるなど、長い歴史と実績を誇ります。
ただ、全国的に見ると青森県や長野県などの大産地の生産量が圧倒的で、群馬県のシェアはけっして多くはありません。そのおいしさを体験するには、やはり群馬県の産地を巡り、生産者が開いているりんご狩り園や直売所などで購入するのがおススメです。
今回は、そんな生産者の中から沼田市の佐山地区でりんご農家を営む小野圭介さんにお話を伺いました。
佐山地域は、県内のりんご産地の中でも、若手農家ががんばっている元気な産地の一つ。もぎ取り園、直売所だけじゃなく、海外への輸出まで視野にいれているのだとか。

小野 りんごほど、日本人に愛されているフルーツはないと思うんですよ。うちのお客様も小さいお子様からお年寄りまで、毎年のように買いに来てくれる方がいらっしゃいます。それほどに多くの人に愛されているフルーツがりんごなのだと思います。今では外国の皆さんにもその魅力が広まっていて、日本のりんごのファンがどんどん広がっていると感じています。
この佐山地区は、古くからりんごの産地で、私も父の代からのりんご農家。徐々に面積を広げて、今では、しなのレッド、秋映、ひめかみ、あかぎ、ふじ、スリムレッド、おぜの紅、そして群馬県が育成した人気品種「ぐんま名月」など、いろんな品種を栽培しています。そのほかにも量は少ないですが、桃、梨、洋梨、ブドウなども育てています。

おいしいりんごを目指して、若い感性で様々な試行錯誤を重ねてきた小野さん。ようやく、自分なりの方法が見えてきた、と言います。

小野 まだまだ試行錯誤は続きますが、自分なりのこだわりというか、やり方ですね、おいしいりんごをお届けするために何が必要か、というのがようやく見えてきたかな、という気がします。
今、一番大切に考えているのは肥料です。もちろん化成肥料を使わず、微生物肥料などを使ってオーガニックで育てているんですが、この肥料の与え方ですね。これによって、りんごをかじった時の果汁感や甘さ、みずみずしさが変わってくるんですよ。しかも皆同じようにすればいいかというと、りんごの木、一本一本でベストな状態が微妙に違う。その違いをしっかりと見極めて、一本一本ずつ肥料を撒く時期や量を細かく変えています。

とはいえ、小野さんが育てているりんごの木はおよそ千本。一本一本管理するのは大変な労力です。

小野 まあ、そうですよね。
1月から4月くらいまでの冬場は枝の剪定作業、5月から摘花・摘果作業を始めて、8月の暑い盛りは、りんご園の伸びすぎた草を刈る作業に追いまくられます。最近、夏暑いでしょう。この辺でも気温が結構高くなって、そうすると、草が伸びるのが早いんですよ(笑)。しかも草は刈りすぎてもダメ。草草を刈りすぎると虫がたくさん出るようになるし、伸びたままにしておくと、今度はイノシシやシカが来て畑を荒らしてしまうんです。ですから週に1回は刈ってほどよい長さにしておかないといけない。この時期は雨の日も晴れて暑い日も草刈りです。
そのあとは収穫が待っています。りんごは品種によって収穫時期がずれていくので、早いものでは9月から、だいたい2~3週間ずつ収穫する品種を変えながら毎年12月くらいまで収穫作業と出荷、販売が続きますね。
一番手間の掛かる品種ですか? まあみんな手間は掛かるんだけど、スリムレッドという品種は、花が多く付く品種なんですね。ですから、その木にあまり多くの実がならないように摘花作業が大変なんです。葉も多く茂るので、そのままだと、実に光が当たらずに甘くならない。葉を摘み取る作業も手間ですね。そういう意味では、スリムレッドが一番面倒かな。でも、りんごらしいしっかりとした実の堅さがあって、日持ちがよく、丁寧に作れば味もいい。手間は掛かるけど、いいりんごですね。
人気の品種といえば、群馬県が生んだりんご品種・ぐんま名月でしょうか。全体的に黄色くて、ほんのり赤みがかかったりんごなんですが、ミツの入り方がすごいんですよ。横に輪切りにすると、まるで霜降りのようにミツが入っている。お客様に試食で召し上がっていただくと、その強い甘さに皆さん驚かれますね。収穫時期が10月末から11月の始めまでと短い上に、量も少なかったので一時期は「幻のりんご」なんて言われていましたが、その時期に群馬県まで来ていただければ、確実にお買い求めいただけると思いますよ。

様々な品種を手がける小野さんに、おいしいりんごを見分ける秘訣をお聞きしました。

小野 まずは色ですね。赤いリンゴは赤いもの、黄色いリンゴはより黄色いものがおいしい。これは間違いないですね。さらに見ていただきたいのは、りんごのおしりの部分。この部分がより黄色いもの、花の名残が開いているものがおいしいと思います。
食べ方も一つ提案させてください。普通にりんごって皮をむいて縦に切りますよね。これを横に輪切りにして、ビスケットをかじるように食べるんですよ。実は、りんごは皮の部分にも栄養成分が多いのですが、こうすると皮をむかなくても食べやすいでしょう。皮ごと食べられ、普段捨ててしまいがちな芯の間近まで余すところなく食べられる。しかもむく手間も省ける。オススメです。

シーズンともなれば、道路沿いに多くの直売所が立ち、道の駅などの売店でも様々なりんごが並ぶ群馬県。りんご園のほとんどでりんご狩りが楽しめます。ぜひたくさんの人にりんご狩りを楽しんでいただきたいと小野さん。

小野 スーパーで売っているりんごは、熟す前に出荷するものなんです。特に青森県産などは産地が遠いですから、どうしたって完熟のものは出荷できないんですね。その点、りんご狩りに来ていただければ、木になっているままで完熟させた、より甘くておいしいリンゴが食べられると思いますよ。
おかげさまで、群馬県は東京から一番近いりんご産地ですからね。お休みの日に足を伸ばしていただければ、新鮮な完熟りんごがすぐに手に入ります。1シーズンの間にいろんな品種が順次登場しますから、たびたびお越しいただいて、自分なりのお気に入りを見つける楽しさも感じてもらえたらと思っています。
反面、私たち生産者の顔が見えるというのは怖い部分もある。あの店で買ったらあまりおいしくなかった、って絶対に言われたくないじゃないですか(笑)。そうならないように、生産者は、日々研究を重ねています。うちで買っていただいたからには、絶対満足して買えっていただきたいし、そのために自身を持ってお薦めできるフルーツを作っていきたい。
日頃からお客様においしいものを選んでいただくため、お客様が飽きられないようにするため、せっかく来ていただいたお客様に満足していただくため、そのために何をしたらいいか、そんな気持ちでりんご作りを追求したいと思っています。



農園名 峠の小野りんご園
電話番号 0278-23-9358
住所 沼田市佐山町847

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